#03

ほっと心が和む、お人形の新しいカタチ。
-中編-

2017.04.21

こどもの日やひな祭りには、
どうしてお人形さんを飾るのだろう。

家としあわせな暮らしを探求するざしきわらしラボ。
今回は端午の節句にちなんで、今までにない新しいお人形をつくる「ふらここ」さんにいろいろお話を聞いてきたよ。まずは代表の原英洋さんから~。

- 「れ~べ~」って名前はみんなにおもしろいねってよく言われるんだけど、「ふらここ」っていうのもおもしろいよね。どういう意味なの?

変わった言葉ですが、じつは奈良時代からあるれっきとした日本語なのです。「ブランコ」という意味があるのですが、和歌だけで使われる言葉なので知っている方は少ないのかもしれませんね。漢字を使った格式のある名前が多いなか、少しでも違いを感じてほしくてやわらかい印象の言葉を探していたところ、たまたま出会った言葉でした。春の季語でもあるのでぴったりだな、と。お人形の名前についても四文字熟語など仰々しいものが多いのですが、お人形はお子さまの健やかな成長を願って飾るものなので、「結」や「愛」、「望」など、親御さまの気持ちを込めた一文字で表現しています。

- 名前ひとつにもこだわって、お人形のことが本当に好きなんだね。そんな原さんは小さい頃から人形づくりに興味はあったの?

わが家は人形師の家系なのですが、跡を継ぐ気はまったくありませんでした(笑)。作家になろうと出版社に勤めていたくらいですから。ところが家庭の事情により、やむなく親が経営する人形店で働くことになりました。そのとき驚いたのは、お客さまから感謝されることが多かったこと。お子さまのしあわせを願い、すごく真剣にお人形を選ばれるので、満足いくものを買えたときの喜びも大きいのです。もともと、多くの人がほのぼのとした気持ちになれるものを書きたいと作家をめざしていたのですが、それは文章じゃなく人形づくりでもできると気づき、この仕事が楽しくなり始めましたね。

- もうひとつ小さい頃のことで気になったのは、人形をつくる人のおウチの節句はすごいのかな?

一年中お人形に囲まれていたので、特別なものという感覚はなかったですね。ただ私のアルバムには、生まれた時にいろんな角度から撮られた写真がたくさん残っていました。小さい頃はどうしてなのかよくわからなかったのですが、後から母に「赤ちゃんのあなたが研究材料だったの」って聞かされて。私は昭和38年生まれなのですが、祖父がわらべ顔の人形づくりで人間国宝に指定されたのが昭和41年。私が生まれたからこその人間国宝だったのかもしれませんね(笑)。いまのわが家にはひとり娘がいて、私の母が心を込めてつくってくれたひな人形を毎年大切に飾っています。

- おじいさん、すごく嬉しかったんだろうね。本物の愛情から生まれたお人形だから、見ているとしあわせな気持ちになれるよね。

お客さまからは、「わが家にしあわせがやってきた」という声をたくさんいただきます。お人形を見てお子さまがニコニコ笑い、その様子を見て親御さまがしあわせを感じてくださる。こういう状況をつくれるのは本当にありがたいことだと思います。あと、本当に仕舞うのがもったいなくてという声も多くいただくのですが、節句はものごとのけじめ、ふしめ、後片付けの大切さを教える風習でもあります。また1つ大きくなったねとお祝いしながら、親子でいっしょに飾り付けを楽しむ。こうした体験が良い思い出となり、自分が大人になったとき、また同じことをしてあげようという風につながっていくのだと思います。

- ふらここのお人形が家族のしあわせを育んでいくために、大切にしていることってなあに?

私たちが常日頃から意識しているのは、ものづくりの前にこころづくりがあるということ。ものづくりはお客さまのニーズに応えていくことが大切ですが、私たちがしっかりとこころをつくっておかなければ、お客さまが本当に求めるものに気づくことはできないと思います。人形づくりは、もちろんお人形をつくることですが、親御さまの愛情をカタチにすることでもあります。ご家族のしあわせを願うなら、まずは自分たちがしあわせであること。その両方を追求する気持ちが、これからもふらここを支えていくと思います。

(後編に続く)

人形工房 ふらここ

「ふらここ」は、かわいらしい赤ちゃんのお顔をした木目込人形のひな人形・五月人形を制作する、プロの人形職人の工房です。
http://www.furacoco.ne.jp

ざしきわらしラボ

気候や風土が変われば、住まいやしあわせのカタチも変わってくる。
どんな土地で、どんな暮らしが育まれ、 どんな知恵や習慣が生まれてきたのか。
「ざしきわらしラボ」は、れ~べ~が“家としあわせな暮らし”を探求するラボです。