#02

うなぎの寝床の暮らしって?

2017.04.01

突然だけど、
うなぎってどうやって寝ているか知ってる?

日本人には身近なうなぎだけど、最近になってようやく卵を産む場所がわかったくらいで、じつは謎が多い生きものなんだ。

どうしてこんな話をするのかというと、「うなぎの寝床」って呼ばれるおウチが京都にあるって聞いたから。いったいどんなところなんだろうね。

京都は千年の都といわれ、歴史ある建物もたくさん残っているんだよね。お寺や神社は有名だけど、今回紹介するのは「京町家」というおウチ。平安時代っていうすごい昔からあったみたいで、時代とともにいろいろとカタチが変わってきたけれど、いまも多くの人が暮らしているんだ。

築100年くらいの町家もけっこうあるんだって。町家っていうのは、その名前のとおり「町」の「家」。昔から京都にはたくさんの人がやってきて、いろいろな商売を始めるから、すき間もないくらい町家は密集していたんだ。

じゃあ、どうして「うなぎの寝床」なんていわれるのかって?それは、通りに面した家の幅(間口)が狭くて、奥のほうにずいぶん細長いカタチになっているから。短冊形に町が分けられたからとか、間口の広さで税をおさめなきゃいけないから、間口を狭く、奥に広げていったとか、いろいろ理由はあるみたい。通りに面した表のほうはお店、奥のほうはふだんの生活をする場所として使い分けていたんだって。

でも、うなぎの寝床なんて聞くと、ずいぶん暮らしにくいんじゃないかなって思わない?しかも、家と家のすき間もほとんどない状態。それに京都って盆地だから、夏はすごく蒸し暑くて、冬はずいぶん冷え込むんだ。こんなタイヘンな環境の中で、みんなどうやって暮らしてきたんだろう。

町家づくりでは、暗くてジメジメしがちな家の中に、風を通し、光を採り込む方法についてすごく考えられている。家の中につくる庭もそのひとつ。町家は表から順に、お店として使われる「店の間」、食事をする「台所」、お客さまを迎える「奥の間」に、「坪庭」が続いているのが基本的な間取り。そして、それぞれの部屋の端を貫くように、「通り庭」という土間が、表から坪庭の奥にある土蔵まで続いている。

坪庭は光を採り入れる効果もあるのだけど、坪庭があることで表の通りとの温度差が生まれやすくなり、家の中を風が自然と流れるようになるんだって。打ち水をするともっと効果的みたい。涼しくなるには、ぼくなら水浴びくらいしか思い浮かばないけど、昔の人ってすごいよね。

表の顔をつくり、町家らしさを醸し出している「格子」も風通しと採光の役目があり、外から中は見えにくく、中から外は見やすいブラインドのような効果もあるんだ。おもしろいのが、商売によって格子のデザインが違うこと。繊維関係のお店は糸屋格子といって、糸などの色の違いがよくわかるように、格子の上の部分をあけたデザインにして、光を入りやすくしていた。

酒屋さんの格子は、酒樽がぶつかっても壊れないように、太めの木で組まれていたみたい。商売をやめてしまった町家は、店じまいという意味の仕舞屋格子というものを使っていたんだって。昔の人は、看板がなくても何屋さんかわかっていたのかなぁ。

ほかにも、安心して暮らすための工夫がいろいろ。家が密集しているぶん、こわいのが火事だけど、いちばん奥に土蔵を建てることで、大切なものを火災から守りつつ、裏の家などへ火が燃え広がるのも防いでいたんだって。おウチを守るってことでいうと、沖縄のシーサーみたいに屋根に鍾馗(しょうき)さんという魔除けの神がいるんだ。

その昔、ある町家で暮らす人が原因不明の病にかかって、それがどうやら向かいの家の鬼瓦のせいということになり、それをはね返すために鍾馗さんを屋根に置いたら、病が治ったんだって。それから、ご近所さんにはね返された悪いものが自分の家に来たら困る~ということで、次々と屋根に置かれていったみたい。鍾馗さん、すごいね。ぼくも負けてられないや。

京都のきびしい気候のもと、間口が狭く、密集した町家という場所で、どうすれば快適で安心な暮らしを育んでいけるのか。「住めば都」という言葉があるけど、町家で暮らす人々は、うなぎの寝床も「住むなら都」にするという意気で、ただ機能的なだけじゃなく、見た目の美しさにもこだわって、都ならではの気品が感じられる住まいに仕立てていったのかもしれないな。

自然を活かし、ご近所さんとのいい関係を保ちながら、良いところはお互いにとり入れ、ときには競い合うようにしながら洗練されてきた家だからこそ、いまも住み継がれているんだな~。千年の洗練、なんてね。

ざしきわらしラボ

気候や風土が変われば、住まいやしあわせのカタチも変わってくる。
どんな土地で、どんな暮らしが育まれ、 どんな知恵や習慣が生まれてきたのか。
「ざしきわらしラボ」は、れ~べ~が“家としあわせな暮らし”を探求するラボです。